農業機械のマイクロ・レンタル事業(AMRLEDプロジェクト)4年次完了のご報告

2016/12/26

ジーエルエム・インスティチュート(GLMi)が2012年から公益財団法人日本国際協力財団の支援により、フィリピンのヌエバ・ビスカヤ州で実施している「農機レンタルプロジェクト(ARMLED)」の4年次が、2016年3月をもって終了しました。この事業の目標である「小規模農家の生産効率及び農業収入の向上」に向けて、4年次には現地スタッフによる持続性の高い事業を作り上げることを目指しました。対象地を広げた上で既存の農機レンタルと低利子ローンの実施に加え、新しい農機を導入したほか、能力強化も積極的に行い、対象農民に対しての知識伝播なども行いました。
4年次の様子をお伝えします。

各種農機のレンタルサービス提供

対象地を3年次の10村から17村に拡大するとともに、農機レンタルのサービスを拡大させることで、生産効率、農業収入の向上の強化に努めました。結果、ARMLED のレンタルサービスを合計17村のべ393名の農家が利用しました。

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8名の村役場の職員向けに行ったARMLEDサービスのオリエンテーション
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農民にARMLEDのサービスを紹介し、その後担当者がフォロー・アップをしている様子

新たなサービスとして、収穫に係る人手不足や不安定な天候を背景として、ニーズの高いコンバイン・ハーベスター(穀物の収穫・脱穀・選別をする農業機械)のレンタルを開始しました。結果、手刈りと比べ収穫及び脱穀に係る時間をおよそ半分に短縮することができ、また小規模農民の支払う経費負担は、従来の脱穀機を利用する場合と比べ、半減しました。

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収穫後に行う、コンバイン・ハーベスターの洗浄の様子
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湿地の泥により多発するコンバイン・ハーベスターの停止に備え設置した牽引機
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農機の増加に伴い、農機運搬のため購入した湿地でも運転可能な4輪車両(中古)

低利ローンの提供による小規模農民の稲作コスト削減

2年次に開始した田植や収穫に係る人件費や農業資機材購入のための低利ローンの貸し出しを引き続き実施しています。結果、延べ195名の小規模農民がARMLED の低利子ローンを使用し、コスト軽減に貢献しました。

農機オペレーターの雇用と能力強化

新規村へのサービス拡大に伴うオペレーターの需要増加に対応するため、農機の操縦方法習得のための研修を実施し、新たに対象村に暮らす16名をARMLED認定オペーレーターとして雇用しました。加えて、よりスムーズで効率的なオペレーションを実施していくために「コミュニケーション、リーダーシップ研修」を実施し能力向上を図りました。
結果、事業4年次の1年間で16名の新規オペレーターの雇用創出とのべ30名のオペレーターの能力強化に貢献しました。また2016年3月時点でARMLEDは56名のオペレーターを雇用しており、これらオペレーターはARMLED の業務を通じて平均で1年間1万ペソの追加的収入を得ることができています。

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Paitan村で、3村1︎︎0名の新規オペレーター向けに行った耕耘機の研修
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スタッフが耕耘機の部品について説明をしている様子
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Paitan村で、実地テストに挑むオペレーター候補生の様子

政府関係機関との連携強化

2015年9月1日から4日にかけて行われたPhilMech主催の「農業サービス・プロバイダーのための農機操作及びマネジメント能力強化コース」に現地スタッフ二名が参加しました。現地スタッフはその経験を生かし、2016年1月にARMLEDが実施したオペレーター向けの「コミュニケーション、リーダーシップ研修」においてワークショップをファシリテートするなどして知識や経験を農民に伝授しました。

5年次の活動に向けて

5年次はいよいよ最後の事業年次となります。今後、私たちの支援が離れた後も、現地のスタッフがレンタル事業を継続し、小規模農家の生産効率及び農業収入を向上させることのできる持続可能性の高い事業を目指し、現地スタッフ、オペレーターの能力の向上、及び生産効率が上がるような設備の導入、仕組み作りに注力していきます。5年次においては農機倉庫の改修や新規農機の購入によりハード面を充実させるとともに、農民と農機オペレーターの能力強化やARMLEDの組織力強化などソフト面の支援も強化していく予定です。

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既存農機オペレーターのリーダーを対象に実施したコミュニケーション能力向上の研修
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農機オペレーターのリーダー向け研修にて行われたグループワークショップの様子
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農機オペレーターのリーダー向け研修の集合写真

 

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