開発援助の現場から第6回 ケニア:保健事業評価、ブルガリア:自立発展プロジェクト

2005/01/04

ジーエルエム・インスティチュート(GLMi)の団体賛助会員である関西学院大学総合政策学部、村田ゼミの学生さんたちが、それぞれの現場で考えたことを寄稿してくれました。

ケニア:人に触れてものを考える

私は日本評価学会の学生インターンとして、9月中旬から1ヶ月間にわたって、ケニアで活躍する日本のNGOである、アフリカ地域開発市民の会 (CanDo:Community Action Development Organisation)が実施する保健事業の評価という貴重な経験をしました。インターンとはいえ補助的業務ではなく、実際の調査者として開発の最前線で活躍するNGOの方たちの活動を間近で見ることが出来るという幸運にも恵まれました。
「たった1ヶ月間で何をどのように評価するのか?」に私達は頭を悩まされましたが、事業の結果そのものよりも、むしろ投入を受けての自立的な活動にもっとも注目しました。また、今回の調査方法は質的であり、関係者にインタビューやグループディスカッションを行いましたが、十分な信頼関係を築くことの出来ない短い調査期間では、インタビューでの回答の信頼性に問題がありました。それは回答者が援助の撤退を極度に恐れて、常にこちらが期待する100点満点の回答をしようとするからです。尋問のように細かい点をつき嘘を暴くことは不可能ではないですが、彼らのプライドを傷つけたり、やる気をそいでしまったりする可能性があり、彼らに悪影響を及ぼすようなことは出来ませんでした。
このようなジレンマの中で感じたのは、やはり、人に触れてものを考える大切さです。つまり、ケニアの人たちの建前と本音の使い分けという文化を理解し、彼らと接するときは常に礼儀を重んじ形式を踏むこと。当たり前のことですが、それは評価だけでなく実際の援助でも、現地に入って行くための最も重要なポイントだと感じました。(月岡悠/総合政策研究科修士課程2回生)

ブルガリア:一杯のコーヒーと貧困

私達は、2004年7月28日から9月22日までの約2ヶ月の間、東欧にあるブルガリアのJICA/JOCV駐在員事務所にてインターンとしてお世話になりました。
滞在中、本当にブルガリアは貧しいのか、援助が必要なのかと考えることが多くありました。町では一日中カフェでコーヒーを飲んでいる人々の姿をよく目にし、以前私達がマニラで見た光景に比べて格段に豊かに見えたからです。しかし、彼らが平日の昼間からカフェにいる理由を聞いたとき、私達はブルガリアに隠れていた貧しさの断片に気がつきました。彼らは安定した収入がほとんどなく仕事もないため、昼食もとらずたった一杯のコーヒー(35円)をずっと飲んでいるのです。それは現在のブルガリアの象徴的な姿でした。
私達は当初、日本人の視点から彼らの姿を見て、就職活動や職業訓練校に行くなど、もっと他に時間を使うべきだと強く感じました。しかし、彼らと生活を共にしていくうちに、彼らには独自の生活スタイルがあり、日本流の価値観を押し付けることが正しいことなのかわからなくなりました。ただ2007年のEU加盟に向けて資本主義圏の中でブルガリアが先進国としての地位を確立するためには、国民一人一人が自ら発展しようとする意識を芽生えさせるようなプロジェクトが必要なのは確かでしょう。
現在JICAでは彼らの自立発展性を育てるプロジェクトを行っています。私達も遠い日本からですが、それらのプロジェクトの成功を心から願っています。(浦狩亜紀・大塚香澄/総合政策学科4回生)
◆質問などがありましたら…

 

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