2010年YOUPLIDのご報告

2010/12/11

ジーエルエム・インスティチュート(GLMi)は体験型国際協力サマープログラム:YOUPLID(通称:サマプロ)を7 月27 日~29 日の3 日間にわたり東京・広尾のJICA 地球ひろばのセミナー会場で開催しました。
サマプロは、国際協力が私たちの日常生活と結びついた身近なものであることを、参加者自身が様々な活動を通じて楽しみながら学ぶほか、自分たちができることについて考え、実行に向けた計画を立てることで、論理的に考え実行する力を育むことをねらいとしています。プログラムにはクイズやゲームなどを通して楽しみながら学ぶ工夫が随所に凝らされています。また、各自が大型ポストイットにアイデアを書いて貼り付けながら話し合いを進めるなど作業過程を視覚化し、参加しやすい環境づくりをしています。
 
昨年から中学生に加えて高校生も対象にするなど新たな展開を迎えたサマプロには、今年は高校生5 名、中学生5 名が参加しました。また新たな取り組みとして、研修内容に応じて中学生と高校生を分けてグループにするなど、グループダイナミックスや議論の内容に配慮した工夫を凝らしました。
 

1日目

シミュレーションゲーム:マナミヤを通して、西アフリカの農村女性が置かれた状況について考え、開発プロジェクトが意図せぬ格差を生んでしまうことがあることを学びました。そして問題を解決するには何が必要なのかについて中学生と高校生が一緒にアイデアを出し合い、その後、中学生グループ、高校生グループに分かれて議論を深めました。また、国際協力のしくみを理解するための講義や(特活)ACE の白木朋子さんから児童労働についてのお話を伺い、国際協力の現状と課題を理解しました。

 

2日目

中学生グループと高校生グループに分かれ、一日目に体験し学んだ事柄を踏まえて、実際に国際協力プランナーとして自分たちが問題をどのように解決できるか、について考えるプロジェクト企画会議を行いました。中学生は地球規模の課題として地球温暖化の問題を取り上げ、高校生は追加の情報として農村女性の現状を更に詳細に描いた実話「ラクの物語」を読み、農村女性が直面している課題として女性の自立について議論を深めました。午後には、国連開発計画の東京事務所を訪問し、国連の活動について職員の西郡俊哉さん(広報・市民社会担当官)や村田俊一代表からお話を伺い、UN ハウスを見学した後、フェアートレードショップ:People Tree を訪問しました。

 

3日目

二日目に行ったプロジェクト企画会議の続きとして、自分たちで実践できる国際協力プロジェクトの具体的なアクションプランを完成させました。ランチタイムにはバオバブの会のエル・ハッジ・マサンバ ディウフさん(セネガル共和国出身)と交流し、セネガルの子どもたちの様子や教育の大切さについてお話を伺いました。午後には、2 名の保護者の方が見守る中、各グループによる発表を行いました。そして、3 日間のプログラムの参加者が「ジュニア国際協力プランナー」として認定されました。

 

新米ファシリテーターの感想(西村幹子理事)


YOUPLID の立ち上げの際に少し関わってから早5 年余り。この間、地方への赴任や出産・育児などでなかなか実際のプログラムをお手伝いできず、今回初めてファシリテーターとして参加しました。全体を通しての感想は「今の子どもたちは恵まれている!」ということです。中学生や高校生という多感な時期に、実際に国際協力の現場で活動している人たちの話を聞き、途上国出身の方と交流し、異なる背景を持って集まった同年代の子どもたちと新たなプロジェクトを企画する、こんな経験が他にどこでできるでしょうか。
 
最近、さまざまなところで若者が内向き、保守化している、と聞きます。私も大学で学生たちを教える中で、海外に行きたい、海外で働きたい、という学生が少なくなっていることを感じます。また、関心を持っていても実感が湧かない、国際協力は遠い世界の話、と感じている若者(いや大人もそうかもしれません)も多いと思います。先学期、ある大学で途上国の教育問題について話している際、学生から「教育を受けないとどうなるのか、教育を受けないという状況が想像できない」と言われてはっとしました。途上国の問題について取り上げているメディアやインターネットサイトは数多くあります。私が学生のときよりもずっと多くの情報が世の中には溢れています。しかし、この情報化社会にあって、若者たちは想像力を失っているのかもしれない、と思いました。
 
地球規模の課題は目の前ではっきり見て確認することはできません。国際社会の一員として、自分の目の前に立っていない人や物事にどのように思いを馳せられるか、自分たちとは異なる文化や状況をどのように理解することができるか、それには豊かな想像力と思いやり(コンパッション)が必要です。こうした素地を育むには、実際に体験して実感する以外に方法はありません。YOUPLID はまさにそのための一歩、きっかけを提供しているのだと思います。
 
プログラムの具体的な内容もこれまで尽力して下さった熟練のファシリテーターの方々の知恵と経験がつまった内容の濃いものでした。学びを様々な方向から促す仕組みに、最初は緊張の余り固まっていた子どもたちの表情が徐々に変わっていく姿を見るのはこの上なく嬉しいものでした。中学生と高校生をグループ分けしたことも、高校生の議論内容を深め、中学生が発言しやすくするためには良いものでした。アンケート調査でも、ほとんどの参加者が国際協力をより身近に感じられるようになったと答えていることに希望を感じます。今回の参加者がYOUPLIDで得られた経験を基に更なる学習や行動につなげていってくれること、そして、これからも多くの子どもたちが少しでもこうしたきっかけに出会ってくれることを願ってやみません。

 

ボランティアの感想(森川典子さん)


国際協力と聞くと、大きな力や優れた能力が必要であり、私なんかに出来ることはないと思っていました。しかし、サマープログラムを通じて、フェアトレードや募金など普段の生活の中の“意識”を変えることによって、現状を少しでも良い方向へ導くことが出来ると知りました。そして、その一人ひとりの意識が変わることが、国際協力の初めの一歩ではないかと感じました。当初は、中高生という今後の進路や夢など多くの選択肢を持った準備の時期にサマープログラムを通じ何か感じ取る、そのお手伝いができればいいなという想いを胸に記録係のボランティアとして参加しました。しかし、ACE の白木さんやUNDP の西郡さんのお話、プロジェクト開発の考え方や意見等、私自身も一緒になって学び考えることばかりで、現段階で自分自身の持つ力では何をするべきなのか、何が出来るのか知ることができ、とても充実した三日間となりました。貴重な体験をありがとうございました。

 

ボランティアの感想(鳥海明美さん)


私はこのYOUPLID にボランティアとして参加して、初めてファシリテーターという仕事を知りました。単なるプロジェクトの司会、進行役をするだけではありません。さりげなくアドバイスをして話し合いを促進したり、経験豊富なスタッフが自身の体験談を語り、学生たちの興味、関心を引き出してくれます。一日目の誰かが口火を切るのを待つ、緊張感漂う空気から、二日目には冗談さえ飛び交うようになったのもファシリテーターあってこそだと思いました。私は以前からのNGO 職員になりたいと考えていたのですが、向いていないとか、時期がどうとかあれこれ理由をつけてはあきらめかけていました。しかし、20歳を過ぎてから国際協力に関心を持ち、その道のトップで活躍している人の多さを知り、それは言い訳にすぎないと気づきました。いろんな方法があり、小中学生でも参加できるのが国際協力です。時間がかかっても、今ある夢を大切に自分が最も活躍できる国際協力の場を見つけたいです。最後にYOUPLID 関係者の方に拙きボランティアの意見も聞き入れてくださったこと等、感謝します。


 

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