第3回国際協力塾合宿のご報告

2011/12/25

ジーエルエム・インスティチュート(以下GLMi)は、2011年8 月28 日から9月10 日にかけて国際協力塾合宿を開催しました。盛りだくさんの内容となった合宿の様子を報告させていただきます。

国際協力塾合宿の概要

この合宿の目的は、GLMi がフィリピンで行っているプロジェクトの現場に入り込み、有機農産物販売促進や森林管理などプロジェクトにかかわる知見を深めるとともに、現場を見る目を養う機会を提供することです。 GLMi はフィリピンのルソン島中北部に位置するヌエバ・ビスカヤ州において住民参加型森林管理プロジェクトを3 年間実施し、その後有機農産物の販売ルート構築プロジェクトを実施しています。前回の国際協力塾合宿と同様、「プロジェクトの現場に行ってみたい」、あるいは「将来国際協力の道に進みたい」と希望する学生・社会人を対象に、ヌエバ・ビスカヤで合宿を実施しました。

第3回国際協力塾合宿スケジュール

Day1

マニラにて待ち合わせ&歓迎夕食会

Day2

ヌエバ・ビスカヤへ移動、オリエンテーション

Day3

プロジェクトサイト視察①
農場視察とテーマ決めワークショップ、町長・町議会表敬とホームステイ

Day4

プロジェクトサイト視察②
農場視察と学校訪問、農産物卸売市場見学

Day5

農産物直販会の見学と世界遺産のイフガオ訪問

Day6

ビスカヤ観光とオーガニックナイト参加

Day7

現地学生らとコミュニティ開発研修を受講

Day8

プロジェクトサイト視察③
PRA(※1)の実践(マップ作成)と灌漑施設見学、ホームステイ

Day9

プロジェクトサイト視察④
植林体験と小学校訪問

Day10

最終発表会とお別れパーティー

Day11

マニラへ移動

Day12

JICA、日本大使館、ユニカセ(※2)、PRRM(※3)訪問

※1 Participatory Rural Appraisal。参加型農村調査法。
※2 元ストリートチルドレンに雇用機会を与えることで、彼らのライフスキルを高めることを目的としているソーシャルビジネスレストラン。
※3 フィリピンで長い歴史を持つNGO、Philippine Rural Reconstruction Movement(フィリピン農村再建運動)。GLMiはPRRMをパートナーにプロジェクトを実施している。

マニラでの顔合わせ

塾生全員での顔合わせはマニラで行われました。アジア最大級の大きさを誇るショッピングモールや世界遺産の聖堂を訪問し、レストランでフィリピン料理を食すうちには皆打ち解け、次の日からのビスカヤ訪問に向け期待が高まりました。

ビスカヤ到着!

ビスカヤ到着後は早速プロジェクトサイトの訪問です。農場を視察し、プロジェクトについてのイメージをつかんだところで、テーマ決めワークショップを実施しました。今回は持続可能な農法、マーケティング、持続性、コミュニティと4つのグループにわかれ調査を行うこととなりました。その日の午後は農民へのインタビューや町役場を訪問し、ホームステイ。農民の方が多数集まり、ギター片手に皆で歌を歌ったり、お酒を酌み交わし、有機野菜に舌鼓を打ったりと、心からの歓迎に皆感激し床に着きました。
 
次の日は農場訪問に加え、小学校の訪問、卸売市場を見学と夕方までみっちりプログラムをこなしました。さらに翌日は世界遺産のイフガオを訪問しました。どこまでも広がる広大な棚田の光景は忘れられないものになったようです。ビスカヤに戻った後は町を観光し、地元のレストランでのイベント、オーガニックナイトで歌やネタを披露しフィリピン人を沸かしました。7日目には現地学生と合同研修を受講し、合原専門家やプロジェクトスタッフからみっちり講義を受けました。
 

モデルファームを登る合宿生たち

 

参加者U.Kさんの感想

ヌエバ・ビスカヤについた夜、PRRYA(現地の学生団体)の皆と食べた食事に考えさせられた。家族を大切にする、家族のために何かをする、ということは彼らにとって当然のことであり、それがすべての基礎にある。 卒業後は妹弟に教育を受けさせるために働くのだという学生の話を聞くと、自分の身を振り返ってドキッとしてしまった。もうひとつ印象に残ったのは、「先進国の人が第三世界に何を学びに来る必要があるの?」という言葉だ。もちろん参加者たちはそれぞれ目的をもって合宿に参加したわけだが、自分はどんなスタンスでフィリピンやPRRYAやプロジェクト関係者と関わって行くのか、あるいは彼らやフィリピンは私たちをどう見て、どう受け入れてくれているのかということについて考えさせられた。

 

参加者M.Sさんの感想

土曜日の夜はこの合宿のメインイベント・・・ではないが、ちょっとなにか発表してほしいと言われたのを真剣に受け取った私たちにとっての緊張の大舞台であるオーガニックナイトだった。オーガニックナイトはプロジェクトで生産された野菜を使った料理をレストランで食べるイベントだ。私たちは日本から来ました!ということで、一発芸を2発とコントを2つ、あと歌を2曲も歌った。雨季で足元が悪かったらしくずるずるにすべったが、涼しい風の中、達成感と度胸の虹があがった・・・。

 

オーガニックナイトで歌を披露する合宿生たち

再び村へ

その後は再び村の訪問です。研修で学んだParticipatory Rural Appraisal(PRA:参加型農村調査法)の実践ということで村人と地図を作成し、灌漑タンクを見学しに丘を登ったり。午後は隣の村に移動し、村に居住し小学校を建設、植林活動を行う大場さん宅に宿泊しました。蛍が飛び交う山の中でゆっくり過ごした一夜、大場さんが小学校を作った経緯等の話を聞きながら、貴重な時間を過ごしました。次の日は朝6時から植林活動です。急傾斜の山を登り苗木を植え、すっきり晴れた景色と共に気持ち良い汗を流しました。最後に小学校にて歌を聴き、村長や農民にインタビューを行い、フィールドワークを終えました!
 

参加者A.Rさんの感想

この合宿では自分の思っていた以上のものを見て、知って、感じることができました。フィリピンに着いてすぐの停電。しかしこのハプニングのおかげでたくさんのホタルが光を放っていたこと、空には満点の星があったことに気づき、一瞬で停電したことを忘れずっと上を眺めてしまいました。農村では夕食の時間になると、お酒、つまみ、ギターを持ってきて、お酒飲んで歌ったり冗談言いあったり・・・。こういう空間にこそ、本当の幸せがあるんだなあと感じました。こういう幸せを大事にしている人たちの役にたちたい、そう思いました。
 
GLMiのスタッフの皆さんが現地に溶け込んで、農民の人とがっちり信頼関係をもって、このプロジェクトを進めているのを見て、「国際協力」を現地の人々の生活水準を上げるためのものと思い込んでいたのは、間違いだったことに気づきました。これだけではありません。ここには書ききれないほどの「気づき」がこの合宿にはありました。たくさんの気づき、たくさん考えたこの12日間は、大学生活の中で本当に貴重なものとなりました。そして、この12日間を楽しく学び、過ごすことが出来たのは、一緒に行ったメンバー、引率の方々が素敵な方ばかりだったからです。思いだしたらきりがないくらいです。本当にありがとうございました!

フィールドワークを終えて

ヌエバ・ビスカヤ最終日は成果発表会です。ほぼ全ての参加者にとって、英語での、多数の観客を相手に行ったプレゼンですが、示唆に富む立派な発表を行ってくださいました。その後、ビスカヤを後にし、最終日はマニラでJICAフィリピン事務所や社会企業レストランのユニカセ、在フィリピン日本国大使館にフィリピン最古参のNGO、Philippine Rural Reconstruction Movement(PRRM)と様々な機関を訪問しました。多忙なスケジュールの中でも、それぞれフィールドと比較したり、様々な立場の方と意見を交わすことで得るものは多かったようです。最終日までみっちり組まれたスケジュールをこなし、無事第三回国際協力塾は終了しました。この国際協力塾合宿が、参加者の「国際協力への想い」を深くするものになったと信じています!
 

発表会でプレゼンテーションを行う合宿生たち

 

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