ケニアの生徒に補聴器を届ける -日本の民間企業との協力

2020/11/16

ジーエルエム・インスティチュート(GLMi)は、2017年3月から3年間に亘り、ケニアで教育プロジェクト「カジアド郡におけるコミュニティを基盤にした持続可能な初等教育戦略のための能力開発プロジェクト」(CADVES)を実施しました。同プロジェクトでは、障害等の困難な状況下にある子どもたちへの支援にも取り組み、そのための聴力検査機器の投入では、電気機器メーカーのリオン株式会社と貿易・海外調査事業などを行う株式会社ワイオーエイアフリカの協力を受けました。

 

加えて、両社から、プロジェクトでは実施できなかった活動にも個別に協力を受けました。このページでは、その事例について紹介します。


協力の背景

ケニアでは、難聴を抱える人々に補聴器が普及していません。スウェーデンの医科大学が2011年に行った調査では、地方都市の病院に通院する80名の中等度~高度難聴の人々で補聴器を使用しているのは、半数を下回っていました。日本でも高価といわれる補聴器は、ケニアでも2万シリング(約2万円)の購入費用が必要となり、貧困率の高いケニアでは、購入できる人が極めて限られてしまいます。

 

GLMiが活動してきたカジアド郡のロイトクトクは、ケニアの中で貧困率の高い地域です。プロジェクトを実施した初等教育学校32校のうち30校では、補聴器を使用している子どもはいませんでした。プロジェクトで補聴器を投入することも検討しましたが、資金面の制約で難しく、最終的には断念をしていました。そのような中、2019年秋、聴力検査機器の輸送などで協力を得たYOA社を通じてリオン社に相談したところ、同社製造の補聴器を対象校の生徒に供与できることとなりました。

 

初めて補聴器を耳に付けたナンバソリオン社から提供された補聴器投入したオージオメータで検査を行う様子より確実な検査のために投入した防音室

 

補聴器により広がった生徒の未来

GLMiは、現地政府の教育事務所や学校と慎重に相談し、1人の女子生徒「ナンバソ(Nambaso)」に使用してもらうことにしました。彼女は当時初等教育8年生でしたが、中等度難聴を抱えていることに加えて、両親を早くに亡くしたことなど、入学や進学への影響が大きく、年齢は20歳でした。補聴器を渡してから現在まで、ナンバソは毎日補聴器を使用し続けました。その効果を次のように述べました。

 

「教室での学習時間と参加が向上しました。先生や他の生徒の話をより理解できるようになり、自信も高まりました。」

 

ナンバソは、自らも困難を抱える中でも真面目に勉強を続け、弟たちの面倒も見てきました。そのひたむきな姿を見てきた先生たちは、学習への手助けだけでなく、彼女とその家族のために、将来への道を開きたいと考えてきました。

 

「著しい変化が見られ、今の彼女はクラスで幸せそうで、活発になりました。」

 

「学びの面でも、大きな変化がありました。彼女の集中力はクラスで注目すべきものです。宿題をしっかり終わらせていることがそれを証明しています。」

 

「最近の定期テストでは、補聴器がない時には出せなかった結果になりました。」

 

先生たちはこのように述べ、「ありがとう」と伝えてくれました。GLMiだけでは難しかった、1人の女子生徒に対する先生たちの願いを、日本の企業の温かい協力により実現することができました。

 

フォローアップついて

GLMiは、ケニアでの大型プロジェクトはCADVESで終了しましたが、元スタッフを通じて、補聴器の使用状況や効果などについてフォローアップを行っています。また、プロジェクトのフォローアップも同様に行い、必要があれば、ロイトクトクの人々に小規模な支援を届ける可能性もあります。


 

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